■素直編
僕の目は じょじょにではあるが 確実に光を取り戻してゆく。
見える! 見えるぞ!
さっき見た夢・・・ もしや声も出るんじゃないか・・・。
僕はとにかく何でも言いから声を出さなきゃと必死になる。
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
駄目だ・・・
何も水物を飲んでいない僕の喉は潤いを失っていた。
喉の奥が干からびて張り付いてしまっているかのようだ・・・。
それに鼻から通された変なチューブが喉のほうへ向かっているのもとても嫌な感じがする。
うまく声が出せない・・・。
それでも口元は動かせるようになってきていた。
絶対、 絶対 声だしてやる!
看護婦から連絡をもらった医師や家族らが僕のそばへと飛んで集まってきた。
必死で声を出そうとするが 何か空気がもれてゆく・・・といった感じで 声 とよべる物は相変わらずでてこない。
それに・・・。
皆が僕の周りへ集まってきたのを見てからは 僕の頭の中にひとつの考えが浮かんできていた。
子供のころ 生まれて初めて声を出したときって なんて話したのだろうか・・・。
その頃なら勿論無意識な第一声だったに違いない。
きっと無意味に「 だぁー だぁー 」とか話したことだろう。
でも 今は違う。
はじめて口にする言葉を自分で選ぶことが出来るのだ。
この状態から 最初に口にする言葉は大切にしたい。
僕はそう思った。
感謝を伝える言葉や ”痛い”などと感覚を伝える言葉など 色々と思い浮ぶ。
いつしか頭の中は 想い浮かんだ言葉を書き記したカードでいっぱいに・・・。
そこから ひとつひとつ言葉を選りすぐっては、一枚づつカードを破りすててゆく。
そして最後まで 僕の中にとどまった一枚のカード
刻まれている大切な言葉。
必死になって僕はその言葉を唱えようとした。
周囲に集まった者たちも いつしか僕へ「 大丈夫? 」とか「 わかるかい? 」とかいう問いかけをやめて じっと僕の口元から出てくる言葉を見守った。
医師も 看護婦も みなと一緒にだまって僕のことをみつめている。
少しづつ かすれ声でも声らしきものが出せるようになってくる。
「 ・・・・・っん 」
「 ・・・・・・く・・ ・・・・・・ら 」
「 さ・・ く・・ ら・ ちゃ・・・ん 」
周囲にいた何人かは聞き取れなかったかもしれない。
だけれども 確かに僕は彼女の名を呼んだ。
珍しく僕の足元がわ 一番離れた場所に立っていた彼女の顔がグシャグシャになり泣いているのが見える。
よかった・・・・ ききとってもらえたな・・・。
その直後 僕は 医師・看護婦・叔父・叔母・乙女らからの質問攻めにあうことに・・・。。
おいおい・・・・ そんなに急に答えられるわけないだろうが・・・(^^;)手加減せぇ
感動的な場面が・・・・ ねぇ 本当にもうぇ 気がきかないんだからぁ(笑)
足も動かしてみろだの 手をあげて見ろだの 私のこともわかるかだの。
とにかくありとあらゆる質問攻めにあいました。
ん〜 何度もいいますが 感動的な場面が・・・・・ねぇ・・・・気が利かないんだからぁ〜
ちょっとぉ (^^;) 取り調べ室じゃないんでしょ ここ (苦笑)
その日の夜までには ずいぶん楽に話せるまでに回復した。
手足も これに伴って順調に動かせるようになってゆく。
僕 とりあえず死なないみたいです。
「 実は数日前から 反応して返せこそしなかったけれど意識はあったんだぞ 」 と話してきかせると みんな目の玉丸くして驚いていた。
ありがとね みんな。
それと目の前にいる人たちへは勿論のこと その他の僕がみたこと合ったことすらない方々への感謝の気持ちも口に出来るようになりました。
まずは元気に回復することでしか 力を貸していただいた方々へご恩返し出来ないな・・・。
勿論 今も全身は痛みで酷いありさまです。
だけれど僕は全身がどんな状態であっても幸せです。
今、 僕 生きてます。
僕の身体・・・どこまで治るのかな・・・。
今はこんな身体だし 先のことは何もわからないけれど それでも彼女へ伝えてみたい台詞があるよ。
「 これからも ずっと ずっと 一緒に居てくれないか 」
それから3ヶ月・・・
まだまだ足腰のリハビリは継続中だけれども無事に退院の日を迎えることができました。
6ヶ月・・・。
1年・・・・・。
事故にあってから早くも1年が過ぎようとしていた。
完治とまではいかないまでも仕事をするにしても不具合を感じないくらいに元気な身体へ戻ることができました。
今日は再びママさんの誕生日。
今回のママさんの誕生日は 叔父夫婦や乙女らも加わり楽しいばかりの時間で終えることが出来そうです。
ホタテマンパパも上機嫌♪
ママさんが使っているのは去年パパさんが作ったグラスです。
これでなければ駄目・・・ この人でなければ駄目ってこと・・・。
” 去年のパパさんグラス ”をみつめていた僕の気持ちが固まった。
僕の想いをつたえる時がきた。
お話があります と前置きしたうえで 真剣な眼差しを3人へ向ける僕。
僕:
「 彼女でなければ駄目なんです 娘さんを僕にください きっと幸せにします。 」
皆も茶化すことなく 真剣に受け止めてくれているようだ。
ホタテマンパパ:
「 ・・・・・・・・・・ 」
パパさんは少し寂しそうな表情で娘の姿を見つめる。
ママさんが娘の手をとり声をかけた。
ママさん:
「 私達の答えはきまっているのよ (娘の顔をみつめながら) 貴女も自分の言葉で伝えなさい しっかりね 」
一瞬の間をおいてから ゆっくりと彼女の口がひらかれた。
ひとつ ひとつの台詞を心に刻むかのように・・・。
桜ちゃん:
「 これからも 貴方のそばに居させてください
そして これからも 私のそばに居てください 」
皆が拍手で答えてくれる中、何故か妹の乙女の奴だけが ガッツポーズをとっていた(笑)
そしてさらに一年後・・・
丘の上の教会。
晴れ渡る青空の下、純白のウェディングドレス姿の彼女とタキシード姿の僕が 友人らの送るライスシャワーの中を手を取り合いながら教会正面入り口の階段より歩き降りてくる。
ホタテマンパパ:
「 ううぅ・・・ 本当に結婚しちゃうのかぁ・・・ やめてもいいんだぞ
俺は怒らないぞ どたキャンしろ どたキャン・・・うぅぅ・・・」
桜ちゃん:
「 パパ 何 馬鹿なこと言ってんのよぉ ♪ 」
叔父夫婦や乙女は勿論のこと、ふぅちゃんに樽原さんらの顔ぶれも揃っている。
皆の祝福の中 教会の階段途中で歩みをとめた彼女がくるりと向きをかえ背中をむける。
集まった友人らの中へとブーケトスをあげる時がやってきたのだ。
集まった友人たちが声をそろえる。
友人ら:
「 いち に〜 のぉ〜 さぁ〜ん♪ 」
瞬間 天高く放られたブーケが青空の中へと舞い上がる。
ブーケは緩い放物線を描きつつ 階段下で待つ女性人らの元へとスローモーションで宙を舞ってゆく。
そして その友人らの背後にはぁ・・・
ロードスターを先頭におびただしい数のスポーツカーたちの群れ。
彼らから一斉に祝福のクラクションとパッシングの嵐が降り注ぐ♪
桜ちゃん:
「 ねぇ もう ロードスター買わないの ♪ 」
僕は「 そうだな(笑) 」とだけ答え、彼女の頬へとキスをした。
( キャッチしたブーケを手にした ふぅちゃんが オープンカーの群れをバックに背負う形の風景
満面の笑顔で僕らを見上げている姿で 場面は FINISH! っす )
あぁ めでたし めでたし (^ ^)v
あとは エンドロール っす
( BGM: おれんじれんじ 花 でいこうかのぉ・・・ )
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■あとがき
あとがきは表紙ページにリンクを配しておきました。
このページの最下段にあるリンク設定から飛んでチェックしてくるといい。
小樽の街作りについても触れている内容の「 あとがき 」ですよ d(*^◇^*)
書き上げるときに 実は ここの文面は こういうことを大事にしていて・・・・とか 皆さんが気づかなかっただろなぁ・・・へへへ・・・ってなのことが書いてあるんだぜ。
■第2話の作品中に登場した小樽の名所紹介
天狗山ロープウェーさんの公式サイト ⇒ http://www.cks.chuo-bus.co.jp/tenguyama/
Glass Studio In Otaru さんの公式サイト ⇒ http://glassstudio-otaru.com/
春香ホースランチさんの公式サイト ⇒ http://www.dioce.co.jp/haruka/index.html
LeTAO さんの公式サイト ⇒ http://www.letao.jp/
北海道ワイン株式会社さんの公式サイト ⇒ http://www.hokkaidowine.com/index.shtml
北の誉酒造株式会社さんの公式サイト ⇒ http://kitanohomare.com/
田中酒造株式会社さんの公式サイト ⇒ http://www.tanakashuzo.com/
FMおたるさんの公式サイト ⇒ http://fmotaru.jp/
海上保安庁さんの公式サイト ⇒ http://www.kaiho.mlit.go.jp/
どこを訪ねても 美味しかったり 楽しかったり な場所達です
小樽へ足を運ぶ機会があれば 是非立ち寄ってみてくださいね (^〜^@)
■著作権について
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