第21話
船の中は何もすることが無いので超暇です。
屋久島へ渡ったときに利用したフェリーには映画館やゲームセンターなどもあってそれなりに時間をつぶす工夫があったんですが、このプリンセス沖縄号には 一切なし・・・。
とても 暇です。
フェリーは19時間かけて 鹿児島港 〜 那覇港 を移動する。
トビウオを 眺めたり、カップ麺を食べたり、手紙を書いたりして時間を潰すが 当然、そんなに長く時間を潰せるものじゃありません。
目的地へ到着までには 一昼夜明けたとはいえ まだたっぷり 5〜6時間は残ってます。
仕方なし、船内をうろついてみるが目新しい物も発見できなかった。
ただし、別の発見はありました。
昨日から何だかおかしいなぁ???とは感じていましたが、この僕達の載りこんだフェリー「 プリンセス沖縄 」は旅客フェリーではないようなんです。
案内された客室が異常に狭かったのは前述しましたが その他にも、旅客用フェリーとの違いが多かった。
まず立ち入り禁止区域が多く、搭載コンテナ数の数が多くてデッキに野積みになってました。
さらに旅客者の通路であるべきデッキ通路も何やらブルーシートで覆われた荷物がうず高く積みあげてあり通抜けることすら出来ない・・・。
極めつけは 客室サービス担当の船員の服装です。
女性船員は普段着にエプロンしてるだけ、若いのはいいんだけど、ルーズソックス履いているってのはちょっと・・・。
男性船員もキャプテンルックなんて誰一人居ません。
全員油で汚れている作業つなぎ姿で歩き回ってます。
僕達のことは客として見ていないらしく 朝、お互いの顔があっても向こうからは「 おはよう御座います 」の一言もありませんでした(笑)
僕達のことを客として認知していないわけですから その行動があたかも当然であるかのように、船内のドアや 壁の ペンキ塗りなどが行われてます。
事前通告なんて 皆無!!
知らずに ペンキ塗りたての船内壁に触っても 多分怒られるのは 僕達のほうでしょう。
ううむ 洒落にならん・・・。
そんなわけで 僕達は どうやら貨物船に便乗させてもらっただけという位置付けにあるようです。
これはアル意味、貴重な体験です。
軽トラックの荷台に揺られて旅をしてみたいというあの願望に近いものがあるかな。
この船と乗務員の放つ雰囲気から察するに、僕達4人は船内において、緊急事態、非常事態などが発生した場合には にわか仕込みの乗務員としてかりだされ消火、救難活動を手伝わされるのはほぼ間違いありません。
本当にそんな雰囲気が漂ってました。
しかし、そこは僕達変わり者4人組。
しっかりとこの環境に順応し、おのおの普通のフェリーでは考えられないような行動をとり始めた。
パンツやTシャツを手洗いしてきては、デッキに干す。
デッキで東シナ海を渡る潮風にはためく僕らのパンツは美しかった。
時間が経つにつれて気温もぐんぐん上がってます。
当然暑いので、上半身は裸、短パン姿で体中にサンオイルを塗っては歩きまわってます。
デッキのベンチも 日焼け用ベットとして活用!!
気分は映画「 太陽がいっぱい 」です。
お次は これまたデッキの上で、4人が大声で歌い出す♪
歌った曲はなぜか『 兄弟船 』だった
こんな充実した貨物船ライフを楽しんでいると、まもなく島が見えだした。
到着予定時刻との関係からみて、沖縄本島の北部地方が見え始めたらしい。
もうすぐ 沖縄入りだ!
知らず知らず、4人の仲間の顔がほころぶ。
うだるような暑い太陽の下でも、僕達は船室へ戻る者はいなく、
『 暑いな〜 本当に暑いよな〜! 』と しきりに声を掛け合って、しだいに高まってゆく興奮を抑えていました。
もうすぐなんだ・・・。 もうすぐなんだ・・・。
胸の鼓動が体の中から飛び出しているような気分だった。
つづく
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