第27話

壷屋通りへ出た。

古臭い店が軒を連ねて並んでいる。

僕達はその一件一件を
ぶらぶらと覗いて歩いた。

僕は友人の誰にもお土産を買ってかえるつもりは無い。

別に意地悪をしている訳では無い。

ただ、全国を旅して回るときに、いちいち土産物を購入して歩くと軍資金もすぐに底をつくし、何より切りが無い・・・。

その土地の史跡などをゆっくり見てまわりたいのに土産物選びに時間や体力をとられるのが嫌なのだ。


というわけで友人への土産は
買わない

だけれども、現在お付き合いしている彼女にだけは
買う

それは何故か?

自分が旅の途中で見捨てられない為でもあるし、
 何より自分にとってやはり
大切なLOVERであるからなのだ


彼女のために、気に入った焼き物がないか探して回る・・。

ショウウィンドウに顔をへばりつかせては、ことさら丁寧に商品を見て回った。
      
      
     
  こんなのが居てびびったり・・・

  
こんなのが何気に顔を出していて驚いたよ
 


その甲斐あって、立ち並ぶ焼き物店の一番はずれおお店で気に入ったものを見つけることが出来た。


それは
逆立ちしているシーサーと、
寝そべっているシーサーとが組みになっているものでその表情がとても愛くるしい置物でした。


     


僕はこのシーサーに一目惚れし、彼女へのお土産に決めた。

早速店員を呼び、買い求める・・・とここで
問題発生!

なんと僕が買おうとしているシーサーは2つでワンセットなのではなくて一つ一つ別々な物だという・・・。

しかも困ったことに、逆立ちしているシーサーは売り物で もう一方の、寝そべっているシーサーは
非買品なのだという。

ありゃりゃ・・・・。

さらに困ったことに

寝そべっているタイプの方は、店員も気にいっている為に、手放す気がないという・・・・。

うぅむ・・・。

どうりで一つは陳列棚の中にあり、もう片方は店のディスプレイ用ショウウィンドウの中にと別々に並んでいるわけだ・・。

困った・・・。
でもどうしても、この僕が惚れこんだシーサー2体が
しい。

僕は遠く北海道から来ていることや沢山の土産物屋の中でも、気にいった焼き物がこのシーサー以外に無かったこと それに、これは大切に想っている彼女への土産にするつもりであることや 彼女もきっと大切にしてくれるということを切々と訴えました。

なんとか譲ってもらえないだろうか・・・・。


すると店員さんが、
『 それだけ大事にしてもらえるならお譲りしましょう 』と答えてくれました。

この時は、
本当に嬉しかった!!

しかも、本来売り物では無い『 寝そべりシーサー 』の方はディスプレイ用ショウウィンドウの中にあるため、おいそれとは取り出せない・・・。

沢山の箱や、せっかく並べて飾り付けた他の焼き物たちを取り除き一番とりだし憎い場所へ陳列されていたお目当てのシーサーを取り出してくれました。

作業にはゆうに15分はかかってましたし、
店員さんも汗だくになってました。

僕は2つのシーサーを手にいれられたことも嬉しかったけれど僕の為に汗だくになって寝そべっているシーサーと取り出してくれた店員さんの
優しさのほうが何倍も嬉しかった。

あの時の店員さん、本当に有難う御座いました。



さて、壷屋通りで土産物を選んでいるうちに、陽が傾き始めている。

お腹も随分すいて来ました。

僕達はガイドブックを参考にお店を選び今日の晩御飯を
ステーキハウスで摂ることに決定。

ここ壷屋通りの街からは、ステーキハウスのある場所まで30分くらいはかかるだろう。

今日は随分と歩く日だなぁ。

だけど、たった今、手に入れたばかりの
紙袋の小さな重さが僕の足どりをくしてくれました。

僕らは 空きっ腹と 大切な紙袋を抱えながら一路ステーキハウスへと続く道を歩いてゆきました。


つづく




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